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ものもらい(麦粒腫)の呼び方
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ものもらい・結膜炎
治療に
全国のベスト3
(絞り込み条件「全年齢層」「男女」)
1位
ものもらい
34.5 %
2位
めばちこ
27.5 %
3位
めいぼ
7.2 %
呼び名をクリックすると、その名称の全国分布をを覧いただけます。
■方言研究の見地から
〔全国分布の概説〕
ものもらい
始めに全国的な特徴を大きく見渡します。まず、共通語
「ものもらい」
については、東日本を中心に次のような言い伝えがあります。
「三軒の家から米をもらって食べるとなおる」(福島県東白河郡)
「よその家へ乞食に行くと、めこじき(ものもらい)が治る」(岐阜県土岐市)
つまり、共通語形「ものもらい」や地域語形「めこじき・めぼいと等」の語源は、「これを治すために人からものをもらう」という無薬の治療行為と結びついて生まれたようです。これを受けて今回の調査における「ものもらい」の使用地域は東日本を中心として、そこから遠く離れた九州の佐賀県や鹿児島県、沖縄県でも多く確認されます。
約50年前に国立国語研究所によって行われた調査では、東海・関東・東北の一部にしか確認されなかった「ものもらい」が、特に若い世代を中心に上記の地域で勢力を拡大していると言えるでしょう。そしてこの「ものもらい」の広がりの背景には、テレビや新聞・雑誌等のメディアを通じての共通語化の影響を挙げられるかと思います。
ただ、その一方で近畿地方や中国・四国地方では、共通語形「ものもらい」の使用は若い世代においても少数派です。これらの点を考え合わせると、メディアを通じて共通語「ものもらい」の影響を受ける程度には、地域差や世代差があるといえそうです。
めばちこ
と
めいぼ
次に近畿地方(京都府・滋賀県を除く)で高年層から若年層まで多く使用されている
「めばちこ」
を取り上げます。
まず語源については、「メ(目)+ハチ(こじき)+コ(接尾辞)」に由来するという説や「目をパチパチする」ことに由来するという説等ありますが、はっきりしたことはわかっていません。
この地域では、メディアからの影響(「ものもらい」の影響)をほとんど受けておらず、高年層、中年層、若年層の各世代間におけるコミュニケーションを通じた直接的な接触により、地域語形の「めばちこ」が伝播され、且つ約50年前の調査と比べ周辺地域(京都府の若年層や岡山県の全年層)にもこの語形の勢力が拡大されています。
一方、近畿地方でも京都府や滋賀県では、「目」+「いぼ」が語源だと考えられる「めいぼ」の使用が多く確認されます。そしてテレビ等のメディアが普及するずっと以前、この「めいぼ」が地伝いに伝播していく過程で、東海地方の岐阜県・愛知県では「めんぼ」が生まれ、三重県や中国・四国地方(広島県・香川県等)では省略形の「めぼ」が生まれたもの考えられます。
めもらい
「めもらい」
の使用が、北陸(福井・石川)と九州の一部(長崎県・大分県)に確認される点については、両地域間で直接的に伝播したとは考えず、各地域で違う語源から独自に生み出した形式であろうと考えます(語源等の詳細については各エリア内で説明します)。
ばか
と
おひめさん
宮城県の
「ばか」
と熊本県の
「おひめさん」
は一見すると全く逆のイメージを持つ語のように思われますが、「自分から遠ざけたい対象」に対する表現という意味では表裏一体の表現であると言えます。
言い換えると、喧嘩する時に友人に対して「てめえの勝手にしやがれ」と言うのと「あなた様の勝手になさいませ」と言うのでは相手を心理的に遠ざけられるという点でほぼ同じ表現だといえるということです。
まとめ
今回使用が多く確認された中で共通語形と大きく異なる語形は「メバチコ(近畿)・メッパ(北海道)」位で、約50年前の調査では確認されたマロオト・メガタネ等のすぐに地域語形とわかる語形の多くは衰退傾向にあるといえます。
「ものもらい」における現在の全国的な状況は共通語形と、共通語形と思い違いやすく意味的にも中立的な地域語形(めいぼ・めもらい等)、並びに共通語形に対抗し得る地域語形(メバチコ)等に集約されつつある状況といえるでしょう。
(解説:三重大学教育学部 余 健 助教授)
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