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ドライアイ(目の乾き)シリーズ
開発秘話
Episode3 3/4
粘度60倍への挑戦

ドライアイ症状にも効果的だと思われる粘度と成分を保ちながら、さし心地良く点眼できる新型目薬。それを、製造ラインを考えながら製品化する。このプロジェクトはまさに試行錯誤の連続だった。

目薬に「とろみ」があり過ぎると、点眼の際にまぶたがくっつきさし心地が悪くなるうえ、通常の目薬の製造ラインを通すことができなくなる。粘度を下げればさし心地が向上し、製造も容易になるが、涙をキープする効果が低減する。
目薬の粘度を高めることは、ヒドロキシエチルセルロースという保湿効果の高い粘稠化剤によって実現できたが、大切なのは最適な粘度だ。通常の目薬の100倍からスタートし、すべての条件をクリアできる最適の粘度を検証していく。全くの手探り状態のなかで、韓たちのプロジェクトが辿りついたのは「60倍」という粘度だった。

次の問題は、この通常の60倍という粘度の液体を、いかに短時間でろ過するかだった。
これまでの目薬の製造方法で、この高粘度の液体のろ過を試みると、ろ過器は目詰まりを起こす。連日、実験室で新しい製造方法が検討された。いくつものフィルターメーカーからさまざまな素材のフィルターを取り寄せ、製剤の調合バランスを代え、何通りもの組み合わせを検証した。

ようやく、実験室レベルでろ過フィルターを通過することに成功したが、実験室の機械よりも大きなテスト機で実験を行ったところ、所定時間内にろ過できた製剤は、通常の目薬のわずか3割程度。OTC薬として製品化するにはほど遠い内容だった。
韓は、高粘度目薬製品化を阻む壁の大きさをあらためて知った。

落ち込む韓に、目次は言った。
「実験室や小スケール機でいくら検証しても、実機でトラブルが起きては元も子もない。なら、いっそのこと、実機で検証してはどうか?」と。
この言葉に韓は驚いた。実際の製造ラインでのこの種の検証を行った前例はない。しかし、この申し出は韓にとって願ってもないものだった。早速、目次は生産事業本部に話をつけ、製造ラインが休止している夜間であればという条件付きで設備の使用許可を取り付けた。

製造ラインが空くのは夜間。プロジェクトのメンバーたちは、製造ラインが停止する夜の8時頃から深夜2時頃まで、連日検証を行った。テストが終了すると、機械を洗浄して翌日の製造に備える。来る日も来る日も、こうした地道な作業が続いた。
連日の作業に疲労は蓄積したが、実験室での孤独な研究に比べ、相棒の協力を得たこの深夜のテストは、韓にとってその疲労を忘れさせてくれるのに充分なものだった。

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